介護をするうえで重要となる”口腔ケア”について解説します。

介護をするうえで重要となる”口腔ケア”について解説します。

高齢になってくると健康な方でもどことなく疎かになりがちになることがあります。
口腔ケアを怠っていると、歯周病になる可能性が上がりますし、それにより虫歯になることもあります。
介護が必要な方にとっては、より口腔ケアが重要だと言えるでしょう。
今回は、要介護者の方への口腔ケアについて解説してまいります。



目次

口腔ケアが重要な理由

要介護の認定を受けられた高齢者の方は、特に食べたり話したりする機能が衰えてしまうことが多く、食事やコミュニケーションが円滑に取れないことが出てきます。
これにより、QOLは急激に低下してしまうのです。
そういった意欲が低下していくことで、だんだんと認知機能が低下したりうつ状態に陥ったりするケースもあります。
QOLが下がると、心身共に大きな支障をきたしてしまうことから、口腔ケアは非常に重要なものだと言えます。

嚥下機能低下で命の危険性も

うまく食事が取れないという原因として、嚥下機能の低下が挙げられます。
食事を口の中に入れてもむせてしまう場合やせき込んでしまうなどがあるのです。
誤って軌道に入ってしまうと、窒息や誤嚥性肺炎を起こしてしまう危険性もあり、命に関わるリスクが伴うのです。
嚥下機能は加齢やストレスなどによって低下するおそれがありますので、嚥下機能を保つためにも、口腔ケアは非常に重要だと言えるでしょう。
また、高齢になってくると入れ歯をしている方も増えてきます。
入れ歯は汚れが付着しやすく、周囲の歯も汚れが溜まりがちです。
入れ歯に付いた汚れなども放置していると歯周病や虫歯、口内炎などの症状が出てきますし、汚れの細菌がそのまま食べ物とともに誤って気管に入ってしまうと肺炎を発症する可能性もあるでしょう。



口腔ケアを行うメリットとは?

では口腔ケアを行うにあたり、どのようなメリットがあるのでしょうか。

・認知症予防に役立つ

実は、歯がない人は歯が多く残っている人に比べて、認知症リスクが高まると言われています。
しかも、歯がほとんど残っていないにもかかわらず入れ歯などを使用していない人は、歯が20本以上残っている人のおよそ1.9倍も認知症発症リスクが高くなることがわかっています。
歯周病による影響や咀嚼が不十分だということから認知機能が低下するのではないかと考えられていますので、口腔ケアでできる限り多くの歯を残すことは非常に重要です。

・肺炎のリスクを低下

厚生労働省によると、肺炎は高齢者になるほど死亡率が上昇し、死亡者の96%が65歳以上ということがわかっています。
さらに、高齢者の肺炎の原因の70%は構内細菌と一緒に唾液や食べ物を飲み込むことで起こる誤嚥性肺炎だと言われているのです。
口腔ケアを行うことで細菌を減少させることができるため、肺炎のリスクを低下させることが出期待できます。

・味覚を安定させ食欲増進を図る

舌に食べかすや汚れが付着している場合、味がわかりづらくなってしまうことがあります。
味覚は水分に溶けた時にしか感知されないことから、口腔内は清潔にして汚れを取り除くことが重要になるのです。
唾液をしっかり分泌させ、さらに舌に付いた汚れを落とすためにも口腔ケアは重要です。

口腔ケアの方法

ではここで、高齢者の方のための口腔ケアについて簡単に説明していきましょう。
まず、うがいを実施します。
口の中に食べかすなどが残っているケースがあるので、いったんうがいで洗い流す形です。
口を閉じた状態で頬を膨らませてゆすいでいただきましょう。
次に、歯ブラシで歯磨きをします。
この時、あまり力を入れずに優しく磨くのがベストです。
歯ブラシを歯と歯茎の境に当てて、ななめ45度の角度で小刻みに優しく磨きましょう。
また、舌磨きも行います。
舌磨き用のブラシがありますので、できるだけ舌磨き専用のものを使うと舌を傷めません。
次に、入れ歯を流水で流してから専用のブラシで洗い、洗浄剤に浸けてきれいにします。
この時、入れ歯が変形する可能性があるので60度以上のお湯は使わないようにしましょう。
次に、歯ブラシの背の部分を使って頬の内側をマッサージします。
内から外に広げるようにして動かしていきます。
また、唾液腺マッサージもおすすめです。
奥歯の近くの耳下腺、下顎の内側にある顎下腺、顎の下にある舌下腺を指で押さえて軽く円を描きます。
刺激することで唾液が分泌されることでしょう。
口内環境をきれいにするのに役立てることができます。

まとめ

いかがでしたか。
介護が必要な高齢者の方は、口腔ケアを怠ることで虫歯や歯周病だけでなく、肺炎や認知機能の低下なども招きます。
こういったことを事前に防ぐために、口腔ケアを怠らないように行いましょう。